【産後1か月】ここからは「ふたりでちょうどいい」を見つけていく時間を大切に

産後1か月、本当におつかれさまでした。ここまで、どうでしたか?
「少し慣れてきた」「とにかく必死だった」「正直、思っていたのと全然違った」「うまくできなくて落ち込んだ日もあった」。どれも、この1か月を真剣に過ごしてきたからこそ出てくる気持ちだと思います。
1か月健診は、ふたりで振り返るのにちょうどいいタイミングです。ぜひママにも聞いてみてください。

「1か月、本当にありがとう。いちばん大変だったのはどんなとき?」
「これから、僕がもっとやれそうなことある?」

答えがすぐに返ってこなくても大丈夫です。「聞いてくれた」ということ自体が、ママにとって大きな支えになります。

これからの1年の見通し

1か月を過ぎると、里帰りが終わる、パパの育休が終わる、健診や訪問が減るなど、ふたりを支えていた手が少しずつ離れていきます。赤ちゃんの泣きも、生後6〜8週ごろにピークを迎えることが多い時期です。ここからが、ふたりで支え合う本番です。

産後うつは産後3か月以内に起こることが多く、そのあとも産後1年くらいは気持ちが揺れやすい時期が続きます。特に最初の半年は、ママの様子を気にかけてあげてほしい時期です。

そして、パパにもしんどくなる時期があります。仕事への復帰、寝不足の積み重ね、思うようにいかない子育て。パパがしんどくなるのも、自然なことです。パパの産後うつもおよそ10人に1人に起こると言われ、産後3〜6か月ごろは特に注意が必要です。パパの気持ちの不調には、夫婦の関係も影響しやすいことがわかっています。

だからこそ、ママを支えることと、ふたりで話し合える関係をつくることが、ママにとっても、パパ自身にとっても、赤ちゃんにとっても大切なのです。

すれ違いは、「対話」で乗り越える

子育てが進むと、やることも、迷うことも増えていきます。おむつ替えやクリームの塗り方、ミルクや授乳、夜泣きの対応、風邪のときの受診のタイミング、離乳食の進め方、両親との付き合い方。ふたりのやり方や考え方の違いが見えてくる場面も増えていきます(場面ごとの例は付録①)。

これは、ふたりとも赤ちゃんを大切に思っているからこそ起こることです。すれ違いが起こること自体は、悪いことではありません。そして、どの場面でも解決のしかたは同じです。正しいやり方を決めることより、ふたりで話し合うことのほうが大切です。

■ 対話の基本の形

  1. 大切に思っている気持ちを伝える
    「ママと赤ちゃんのこと、大事に思ってるから」
  2. 自分が困っていること・感じていることを、「僕は」を主語にして伝える
    「僕は、やり方を言われるとちょっと自信がなくなっちゃうんだ」
  3. こうしたい、という希望を伝える
    「僕もおむつ替えをちゃんとできるようになりたい」
  4. どうするといいか、一緒に考える
    「お互いにやりやすい方法、一緒に考えてみない?」

■ たとえば、夜泣きの担当で不満がたまったとき

×「なんで僕ばっかり起きなきゃいけないの」
○「最近ちょっと寝不足で、仕事中もしんどくなってきた。ふたりとも少しでも眠れるように、夜の担当を一緒に決め直さない?」

おむつ替え、ミルク・授乳、受診、離乳食、両親のアドバイスなど、ほかの場面の例は付録①にまとめています。

初めから完璧じゃなくていい

話し合ってみても、うまく伝わらないことはあります。言い方を間違えて、ケンカになってしまう日もあるでしょう。それで大丈夫です。

「さっきは言い方がよくなかった、ごめんね。もう一回話してもいい?」

と、何度でもやり直せばいいのです。試して、うまくいかなかったら、また別の言い方を試してみる。それをくり返しながら、パパとママにとって「ちょうどいい」コミュニケーションが、少しずつ見つかっていくと思います。
正解はひとつではありません。ふたりの正解は、ふたりで見つけていくものです。

これからも気をつけたい、こころのサイン

産後うつというと「落ち込んで何もできない」というイメージがあるかもしれません。でも実際は、家事や育児はこなせていて、強い不安が目立つことも多いです。動けているぶん、本人もまわりも気づきにくいことがあります。こんな言葉や様子に気づいたら、注意してください。

  • 「赤ちゃんとふたりきりになるのが怖い」「私、本当に大丈夫かな」と、不安を何度も口にする
  • 「子育てが楽しくない」「赤ちゃんをかわいいと思えない」と話す
  • 「私は悪い母親だ」「みんなに迷惑をかけている」と自分を強く責める
  • 赤ちゃんが寝ていても、ママが眠れない
  • 「いなくなりたい」「消えたい」と口にする

ママもパパも「育児ってみんなつらいものだから我慢」と思い込んで、相談が遅れてしまうことがあります。「いつもと違うかも」と思ったら、それだけで相談していい理由になります。

■ これだけは忘れないで

  • 同じ不安を何度言われても、突き放さない。
    「何回でも聞くよ。心配なんだね」
  • 気持ちを聞くときは、責めずに率直に。
    「つらいとき、ふと『いなくなりたい』って思うことある?」
  • 相談をすすめるときは、パパが動く。
    「保健師さんに一回話を聞いてもらおう。電話は僕がかけるね」
  • 受診して終わりではなく、そのあともひとりにしない、そばで見守ることを続けましょう。
  • 「消えたい・いなくてもいい・自分に価値がない」などの言葉があるとき、まったく眠れない日が続くときは、その日のうちに医療機関や保健センターに相談してください。命の危険を感じたときは、迷わず救急(119)に連絡してください。

眠れない、何をしても楽しくない、イライラが止まらない、仕事に集中できない。そんな状態が続くときは、パパも同じ窓口(産婦人科、保健センター、心療内科・精神科など)に相談できます。パパが元気でいることも、ママと赤ちゃんを守ることにつながります。

パパコラムは、今回でひと区切りです

パパコラムは、今回でひと区切りです。でも、子育てはまだ始まったばかり。これからも、うれしいことも、迷うことも、ぶつかることもたくさんあると思います。

ママと話し合える関係が、赤ちゃんの育つ土台になる

ここまで、くり返し「対話」をお伝えしてきたのは、パパがママに合わせて我慢するためではありません。ママもパパも、少しでも穏やかに過ごすためです。

そしてそれは、赤ちゃんのためでもあります。両親の関係は子どもの心の育ちに影響することがわかっていて、母親が夫婦関係に悩んでいる家庭ほど、子どもの成績が低い傾向があるという国内の調査もあります。
ケンカをしてはいけない、ということではありません。言い合いになっても「さっきはごめん、もう一回話そう」と仲直りしていく親の姿は、子どもにとって人との関係のつくり方を学ぶお手本になります。

そんなときは、完璧な親を目指さなくていいということを思い出してください。大切なのは、ママと赤ちゃんを大切に思う気持ちを伝えること。そして、「どうしたらいいか、一緒に考えよう」と話し合い続けることです。

「ありがとう」
「ひとりで抱えなくていいよ」
「一緒に考えよう」

困ったときは、いつでもこれまでのコラムや、このあとの付録を読み返してください。パパとママが、ふたりにとってちょうどいいチームになっていけることを応援しています。

付録① 場面別:よくあるすれ違いと、対話の例

どの場面でも、本編の「対話の基本の形」(気持ち→困っていること→こうしたい→一緒に考える)を思い出してみてください。

・おむつ替え・保湿クリーム

つい言いがちこう話してみる
ママに「そのやり方だと漏れるよ」と言われた「じゃあもう自分でやれば?」「僕もちゃんとできるようになりたいんだ。言われると少し焦っちゃうから、一回一緒にやりながら教えてもらえる?」
クリームを塗ったら「量が少ない」「そこじゃない」と言われた「もう僕は塗らないほうがいいね」「どこにどれくらい塗るといいか、一回見せてもらってもいい?次から僕の担当にしたいんだ」
赤ちゃんのお尻が赤くなっているのに気づいた「お尻、赤くなってない?ちゃんと塗ってる?」「お尻、ちょっと赤いみたい。次のおむつ替えのとき、僕もクリーム塗っておくね」

・ミルクや授乳

つい言いがちこう話してみる
赤ちゃんが泣きやまず、母乳が足りているか心配になった「ミルク足したら?足りてないんじゃない?」「最近すごく頑張ってくれてて、ママが疲れてないか心配なんだ。ママはどうしたい?僕にできることがあったら言ってね」
母乳を頑張っているママが疲れている「もうミルクでいいじゃん」「頑張ってくれてありがとう。ママが楽になる方法、一緒に助産師さんに聞いてみない?」
ミルクの量や時間が気になる「さっき何ml飲んだ?前は何時だった?」(何度も確認する)「飲んだ量と時間、アプリに一緒に記録していかない?僕も見られるようにしたいんだ」

・夜泣きや寝かしつけ

つい言いがちこう話してみる
夜中に起きる回数が、自分ばかりな気がする「なんで僕ばっかり起きなきゃいけないの」「最近ちょっと寝不足で、仕事中もしんどくなってきた。ふたりとも少しでも眠れるように、夜の担当を一緒に決め直さない?」
寝かしつけのやり方で意見が分かれた「抱っこしすぎるから寝なくなるんだよ」「寝かしつけ、僕もうまくいかなくて困ってるんだ。どうしたら寝てくれるか、一緒にいろいろ試してみない?」
仕事が始まり、夜は別の部屋で寝たいと思った「明日仕事だから、向こうの部屋で寝るね」「平日は別の部屋で寝させてもらってもいい?そのかわり週末の夜は僕が全部見るね」

・風邪や体調不良、受診のタイミング

つい言いがちこう話してみる
ママが「熱があるから病院に行きたい」と言った「これくらい大丈夫じゃない?」「大げさだよ」「心配だよね。僕も気になってる。#8000に一回電話して、相談してみようか」
自分は心配だけど、ママは様子を見たいと言っている「すぐ病院に行こうよ」「僕は心配なんだけど、ママはどう思う?様子を見るなら、何時までにどうなったら受診するか決めておこう」
受診したあと「だから言ったのに」「もっと早く行けばよかった」「病院に行けてよかった。連れて行ってくれてありがとう」

生後3か月未満の赤ちゃんの発熱は、早めの受診が必要とされています。迷うときは、夜間や休日でも小児救急電話相談「#8000」へ。プロの意見を聞くことで、ふたりの意見が分かれたときの判断材料にもなります。

・離乳食の進め方

つい言いがちこう話してみる
始める時期で意見が分かれた「まだ早いんじゃない?」「もう始めたほうがいいよ」「僕も気になって調べてみたんだ。次の健診で一緒に聞いてみない?」
手作りを頑張っているママが疲れている「手作りなんて大変だし、市販のでいいじゃん」「ママが頑張ってくれてるのは知ってるし、ありがたいと思ってる。でも疲れてないか心配なんだ。週に何回か市販のを使うのはどうかな?」
赤ちゃんが食べてくれない「食べさせ方が悪いんじゃない?」「今日も食べなかったね。毎日作ってくれてるのにしんどいよね。次の週末は僕があげてみようか」

・両親や周りからのアドバイス

つい言いがちこう話してみる
義母のアドバイスにママが困っている「母さんも悪気はないから」「ママがどう感じたか教えて。僕から両親に伝えたほうがいいことがあったら言ってね」
義母とママの意見が違う「母さんの言うことも一理あるよ」「母さんの意見も聞いたけど、僕はママと決めたやり方でいきたいと思ってる。ママはどう?」
ほかの家のやり方が気になった「◯◯さんの家ではこうしてるらしいよ」「こういうやり方もあるみたいだけど、うちはどうしたい?」

付録② 迷ったら見てね 良かれと思って言いがちな言葉の言いかえ集

パパが気づかいのつもりで言った言葉が、ママにとっては「で、どうしたらいいの?」になってしまうことがあります。原因はたいてい、次の3つです。

  • 気持ちだけで、具体的に何をするかがない(「無理しないでね」)
  • 決めることや頼むことを、ママに任せている(「何かあったら言ってね」)
  • 今のしんどさを、小さく扱ってしまう(「そのうち慣れるよ」)

言いかえのコツは、「いつ・何を・パパがやるか」まで言うことです。

毎回こんなふうに言い方を考えてから話すのは、正直しんどいと思います。全部を覚えなくても、いつも完璧に言えなくても大丈夫です。それでも、一度目を通しておくと、とっさの場面で「あ、こう言えばいいんだった」と出てくることがあります。うまく言えなかったら、次に試してみればいい。お互いが少しでも心地よく過ごすために、できそうなところからトライしてみてください。

・気づかうつもりの言葉

良かれと思って言いがちママの心の声こう言いかえてみる
「大丈夫?」大丈夫じゃないけど、「大丈夫」って言うしかない「昨日、何時間くらい寝れた?」
「無理しないでね」無理しないと回らないんだけど…「洗濯物はそのままでいいよ。帰ったら僕がたたむ」
「休めるときに休んでね」その「休めるとき」がないんだって「土曜の午前中は僕が見るから、寝るなり出かけるなりしてきて」
「何かあったら言ってね」言うのもしんどいし、言ったらやってくれるの?「帰りにドラッグストア寄るけど、おむつとか足りてる?」
「疲れてるなら早く寝たら?」寝たいけど、片付けもお風呂の準備も残ってる「あとは僕がやっとくから、先に寝てて」

・手伝うつもりの言葉

良かれと思って言いがちママの心の声こう言いかえてみる
「手伝うよ」「手伝う」って、私がやるのが前提なの?「お風呂は、これから僕の担当にするね」
「言ってくれればやったのに」言わなくても気づいてほしかった「ゴミ出しは、これから言われなくても僕がやる。ほかにも気づいてないことあったら教えて」
「寝てていいよ」(でも泣いたらすぐママに渡す)結局、寝られない「泣いても僕が見るから寝てて。授乳のときだけ起こすね」
「何食べたい?」考えるのもしんどい「うどんと牛丼、どっちがいい?買ってくる」

・赤ちゃんのことで、つい言ってしまう言葉

良かれと思って言いがちママの心の声こう言いかえてみる
「泣いてるよ」知ってる。わかってるよ(何も言わずに抱っこしに行く)「ちょっと抱っこして歩いてくるわ」
「おっぱいじゃない?」さっきあげたばっかりなんだけど「さっき飲んだばっかりだよね。じゃあ、ちょっと僕が抱っこしてみる」
「ミルクにしたら楽じゃない?」私の頑張りは意味ないってこと?「夜の1回だけミルクにして、その回は僕があげるのはどう?」
「病院行ったほうがいいんじゃない?」誰が予約して、誰が連れていくの?「明日、午前休とれるから一緒に行こう。予約は僕が入れとく」

・励ますつもりの言葉

良かれと思って言いがちママの心の声こう言いかえてみる
「そのうち慣れるよ」「みんな通る道だよ」そのうちじゃなくて、今しんどいの「毎晩これはきついよな。今夜は2時まで僕が見る」
「気にしすぎだよ」「考えすぎじゃない?」わかってもらえなかった「何がいちばん気になってる?」
「頑張ってるね」上から言われてるみたい「夜中に3回も起きてたよね。ありがとう」
「今日どうだった?」(帰ってすぐ)何もできなかったって責められてる気がする「今日、ちょっとでも寝てくれた?」

・両親が会いに来るとき

良かれと思って言いがちママの心の声こう言いかえてみる
「来週、母さんたち来るって」(決まったこととして伝える)私の体調は聞かないの?部屋も片付けなきゃ…「うちの親が会いたいって言ってるんだけど、体調どう?しんどかったら断るから、遠慮なく言って」
「1時間くらいだし大丈夫でしょ」1時間でも気をつかうし、ちゃんとした格好もしなきゃいけない「来るなら1時間って先に伝えとく。片付けとお茶出しは僕がやるから、ママは座ってて」
「せっかく来てくれたんだから」授乳もしたいし、横にもなりたいのに「疲れたら途中で寝室に行っていいよ。親には僕から言っとくから」
「母さんも悪気はないから」私の味方じゃないんだ「さっきの言い方、嫌だったよね。僕からあとで言っとく」
「母さんに聞いてみたら?経験者だし」私のやり方じゃだめってこと?「うちはうちのやり方でいいと思う。何か言われたら、僕が間に入るね」
(親のアドバイスに、その場で黙っている)なんで何も言ってくれないの?「ありがとう。でも今は、病院で教わったやり方でやってるんだ」

・パパが仕事に復帰するとき

良かれと思って言いがちママの心の声こう言いかえてみる
「来週から仕事だから、夜は寝かせて」平日の夜は、私ずっとひとりで見るってこと?「来週から仕事だけど、夜どうしようか。金曜と土曜の夜は僕が見るのはどう?」
「早く帰れたら帰るね」期待して待ってたのに、結局遅いじゃない「水曜と金曜は18時半に帰る。遅くなりそうな日は、昼のうちにLINEするね」
「仕事中でも、何かあったら連絡してね」連絡しても、どうせ出られないでしょ「お昼の12時台なら電話に出られるから、困ったらその時間にかけて。LINEは見たらすぐ返すね」
「疲れた〜」(帰ってすぐソファへ)私も一日中、休みなしだったんだけど「ただいま。着替えたら抱っこ代わるね」
「休みの日くらい、ゆっくりさせて」私には休みの日がないんだけど「土曜の午前は僕が見るから、日曜の午後に2時間くらい寝かせてもらってもいい?」
「飲み会入っちゃった」(前の日に伝える)もっと早く言ってよ。夕飯もお風呂も、ひとりで全部やるのに「来週の木曜、飲み会があるんだけど行ってもいい?その日は夕飯を買っておくね」

・パパ自身がしんどいとき

良かれと思って言いがちママの心の声こう言いかえてみる
「僕は大丈夫だから」(ため込む)急に不機嫌になるのはなんで?「正直、最近ちょっと寝不足でしんどい。週末、交代で2時間ずつ寝る時間つくらない?」
「僕も疲れてるんだけど」私のほうが大変なのに「ふたりともきつくなってきてるし、夜の担当、決め直さない?自治体や産後ケアのサポートも検討してみない?」