【出産後すぐ】パパに捧ぐ、産後1か月頃までのママの取扱説明書

ご出産おめでとうございます。

赤ちゃんに会えたうれしさと、「いよいよ始まるんだ」という緊張感や、いろいろな気持ちが入りまじっているころかもしれません。

このコラムは、ママがMamaemiで赤ちゃんの誕生を知らせてくれたことをきっかけに、パパへお届けしています。これからの毎日をふたりで乗り越えていくためのヒントとして、読んでみてください。

妊娠中はつわりやお腹が大きくなるなどの体の変化があり、出産も大変なことは想像ができると思いますが、実は、出産後から1年間は出産による体の痛みや精神的な浮き沈みなど、壮絶な日々を経験することになります。産後にママとともに親になれるかどうかによって、夫婦関係は大きく変わってくるとまで言われています。

今からお伝えすることは、ママと円満な家庭を築いているパパが産後に実践したことをまとめたものです。どうか共倒れしない範囲でお役立てください。 「何をすればいいかわからない」「自分も正直しんどい」と感じるのは、パパとしてちゃんと向き合おうとしている証拠です。

ママは赤ちゃんのお世話、パパは家事で乗り越える

家事はできるかぎりパパが担う

出産は、全身骨折したのと同じような状態です。骨盤が変形し、歩くこともやっとの状態になります。もしも、ママが全身包帯でぐるぐる巻きにされていたら、動けないことを察することができると思いますが、そうではないので動けるように見えてしまうのが、出産後の辛いところです。骨折の例で説明を続けると、骨折というのは、その後にリハビリも大切になってきます。その間は、思うように動けない申し訳なさや、悔しさが溢れてきます。そのような時に、家事をパパがしてくれることで、「この人の子どもを頑張って産んでよかった」と感じ、元気になったらパパを支えたいと思う気持ちが強くなったと語るママの話をよく聞きます。今後の結婚生活のために、率先して家事をこなしましょう。

■ これだけは忘れないで

  • 「手伝う」ではなく「自分の担当」として家事をする。
     「洗い物と洗濯は僕がやっておくね」
  • 聞くときは選択肢をつける。
     「夕飯、①うどん ②おにぎり ③お弁当、どれがいい?買ってくるよ」
  • 「今日何してたの?」は禁句。代わりに
     「今日もずっと赤ちゃんを見ていてくれたんだね、ありがとう」
  • 家事が回らないときは、完璧を目指さず、総菜や家事代行、産後ケアなどのサービスに頼るのも立派な選択です。

ほかにも知っておいてほしいこと(詳しくは付録①)

  • 最初の数週間は、「質問する人」より「ママのやり方を観察して覚える人」に。
  • 産後のママは、赤ちゃんに全神経が向いています。パパの寂しさは一時的なものです。
  • 両親からのアドバイスでママが困っているときは、パパが間に入る。

赤ちゃんの「泣き」に向き合う

泣くのは赤ちゃんの仕事。泣き止まないのは誰のせいでもない

赤ちゃんは、お腹がすいた、おむつが気持ち悪い、暑い・寒いといった理由のほかに、はっきりした理由がなくても泣くことがあります。生後2週ごろから泣く時間が増え、生後6〜8週ごろにピークを迎え、生後3〜4か月ごろには落ち着いてくることが多いと言われています。夕方から夜に泣きやすい赤ちゃんもいます。

泣き止まないのは、ママのお世話が悪いからでも、パパのあやし方が下手だからでもありません。「終わりがある」と知っているだけでも、気持ちが楽になります。

泣いたときのチェックリスト

  • お腹がすいていないか(前の授乳からの時間)
  • おむつが汚れていないか
  • 暑すぎたり寒すぎたりしないか(背中に汗をかいていないか)
  • げっぷが出ていないのではないか
  • 服のタグや髪の毛が当たっていないか

それでも泣き止まないときは、縦抱きにしてゆっくり歩く、静かに声をかける、少し外の空気に当たる、なども試してみましょう。それでも泣き止まないことはあります。それは赤ちゃんが赤ちゃんの仕事をしているときと思って過ごしてください。

■ よくあるすれ違い

  • パパ「泣いてるよ」とママに赤ちゃんを渡す → ママ(私だって泣き止ませ方がわからないのに…)
  • パパ「お腹すいてるんじゃない?」「抱き方が悪いんじゃない?」→ ママは責められているように感じる
  • 夜中の泣き声でパパが「明日仕事なんだけど…」とため息をつく

■ これだけは忘れないで

  • 泣いたらママに渡すのではなく、まずは自分が抱っこする。
     「僕が見てるから、少し横になってて」
  • 泣き止まなくてもママを責めない。
     「ずっと泣いてたんだね、しんどかったね。交代するよ」
  • 夜の担当を決めておく。たとえば「金曜と土曜の夜は僕が見る」「22時〜2時は僕、2時〜6時はママ」など(母乳の場合は、授乳以外のおむつ替えや寝かしつけをパパが担当)。

・絶対に揺さぶらない。イライラしたら、その場を離れていい

赤ちゃんの泣き止まない声を聞き続けると、誰でもイライラしたり、追い詰められたりします。それは親として普通の反応です。ただし、赤ちゃんを激しく揺さぶることは絶対にしてはいけません。赤ちゃんの脳は傷つきやすく、数秒の強い揺さぶりでも、脳に重い障害が残ったり命に関わったりすることがあります(乳幼児揺さぶられ症候群)。

■ イライラが限界に近づいたら

  • 赤ちゃんを、ベビーベッドなど安全な場所に仰向けに寝かせる
  • その場を離れて、深呼吸する、水を飲む、5〜10分ほど気持ちを落ち着ける(好きな音楽を聞いてもいい)
  • 落ち着いたら赤ちゃんの様子を見に戻る
  • 必要なら、パートナーや家族に「代わって」と頼む

泣いている赤ちゃんを安全な場所に寝かせて離れることは、育児放棄ではありません。赤ちゃんを守るための正しい行動です。このことは、ママとも事前に話し合っておきましょう。

「もしどうしても泣き止まなくてイライラしたら、ベッドに安全に寝かせて一回離れようね。僕もそうするから。どちらかが代われそうなときは声をかけ合おう。」

こんなときは受診や相談を

  • 発熱がある、ミルクや母乳をいつもより飲まない、ぐったりしている
  • いつもと違う甲高い泣き方や、弱々しい泣き方をしている
  • 嘔吐をくり返す、顔色が悪い

夜間や休日に迷ったときは、小児救急電話相談「#8000」に電話すると、受診したほうがよいかを相談できます。

ママのこころを支える、そして早めに専門家へ

ホルモンバランスを理解することで謎が解ける

産後は様々なホルモンバランスが崩れます。ママがメンタルを整えようと試みてもとても難しく、ママも理由の分からない情緒不安定さに圧倒されます。涙もろくなる、イライラするなどの状態を「マタニティブルーズ」と言い、基本的には2週間程度で落ち着いてきます。ママが不安定になっているときは、「子どもがうまれてから、まとまった睡眠もとれない中で慣れない子育てを頑張ってくれているんだから、気分が沈んだり、イライラするのは当然のことだよ。「いつもありがとう」と声をかけてあげましょう。

■ これだけは忘れないで

  • 理由を聞くより、まずはそばにいる。
     「毎日がんばってるのわかってるよ。そばにいるから。」
  • 解決策より、まずは受け止める。
     「そっか、つらかったね」
  • 感謝は具体的に、できるだけ毎日伝える。ママにとって、子育てを頑張っていることを認めてくれることは、パパにとって仕事が成功したり、給料が上がったりするに匹敵する喜びになります。
     「夜中に3回も起きて授乳してくれてありがとう」
     「この子がこんなに元気なのは、ママがちゃんと見てくれているからだね」
  • 寝る前の5分だけ、ふたりで話す時間をつくる。
     「今日いちばん大変だったことは?」「最近ちゃんと眠れてる?気持ちはどう?」

2週間以上続くときは、産後うつのサインかもしれない

2週間以上続く、または強くなっていくときは、産後うつなどの可能性があります。産後うつは誰にでも起こり得るもので、本人の性格や努力の問題ではありません。早めに相談するほど、回復も早いと言われています。

■ こんなサインに気づいたら、相談のタイミングです

  • 赤ちゃんが寝ていても眠れない、または一日中起き上がれない
  • 食欲がほとんどない
  • 笑顔が減った、好きだったことに興味を示さない
  • 「私はダメな母親だ」「私がいないほうがいい」と自分を強く責める
  • 赤ちゃんをかわいいと思えない、と話す
  • 「消えたい」「いなくなりたい」と口にする

■ これだけは忘れないで

  • 責めずに「心配している」と伝える。
     「最近つらそうに見えて心配なんだ。ひとりで頑張りすぎてない?」
  • 「誰にでもあること」として相談をすすめる。
     「産後はホルモンや寝不足で、誰でもこうなることがあるみたい。助産師さんや保健師さんに一回話を聞いてもらわない?」
  • 電話や予約はパパが引き受ける。
     「電話は僕がかけるよ。一緒に聞こうか」

■ 相談先は、今のうちに確認しておきましょう

  • 出産した病院・産婦人科(2週間健診・1か月健診、助産師外来)
  • お住まいの市区町村の保健センター(保健師さん)、こども家庭センター
  • 自治体の産後ケア事業(日帰りや宿泊で休めるサービス)
  • 心療内科・精神科

「消えたい」「死にたい」などの言葉があるとき、または命の危険を感じたときは、迷わずすぐに医療機関や救急(119)に連絡してください。

また、パパも、寝不足や仕事との両立、生活の大きな変化から気持ちが落ち込むことがあります。眠れない、何をしても楽しくない、イライラが止まらない状態が続くときは、パパも同じ窓口に相談できます。パパが元気でいることも、家族を守ることにつながります。

最後に

産後の時期は、ふたりが「親」になっていく大切な時間です。うまくいかない日があっても大丈夫です。

「ありがとう」「ひとりで抱えなくていいよ」「一緒に考えよう」という言葉が、ママにとっても、パパにとっても支えになります。

つらいときは、ふたりだけで頑張りすぎず、まわりの人や専門家を頼ってください。それも、家族を守る大切な方法のひとつです。

付録① 知っておくと役立つ、ママの気持ちと両親との付き合い方

ママが赤ちゃんとどのような関わりをしているか観察する

ママは初めての子育てに強い不安を感じています。それでも赤ちゃんの命を守るためには、赤ちゃんとの関わり方を模索していかざるを得ないのが産後間もない頃のママの心境です。自分の方法が見つかってくれば、パパに伝えることができますが、それまでは自分の方法が見つかるように模索することが精一杯になります。

パパが赤ちゃんと関わろうとしてくれることは嬉しいことですが、赤ちゃんとの関わり方を模索している途中でパパから赤ちゃんについて質問されることは強い負担を感じる場合があります。まずは、ママがどのように赤ちゃんのお世話をしているか観察し、ママが慣れてきたところで「自分も子育てに参加していきたいから、やり方を教えてほしい」と声をかけることで一緒に子育てに励むことができます。

■ これだけは忘れないで

  • 最初の数週間は「質問する人」ではなくできるだけ「観察して覚える人」になることが大切です。おむつ替えや沐浴の手順、授乳の間隔、寝かしつけ方など、ママのやり方をよく見ておくといざというときに頼れるパパになります。
  • 見ていてもよくやり方がわからないときは
     「ママと同じようにお世話できるようになりたいから、どういうところに気を付けておむつ替えしているか教えてくれる?」
  • 調べた情報は「正解」として伝えるのではなく、
     「こんなのも見つけたけど、参考になりそう?」と提案として伝えてみる。

産後は一時的に赤ちゃんにしかエネルギーを注げない時期がある

産後は赤ちゃんの命を守るために全神経が赤ちゃんに向かいます。これは動物的な本能とも言えます。退院後は助産師さんがいない心細さの中、赤ちゃんを守れるのは自分しかいないと気を張り過ごしているママもいます。ママは赤ちゃんを産んでから子育てに慣れてくるまでは、赤ちゃんのことに全ての神経を注いでいます。

赤ちゃん以外に意識が向かない状況は、パパにとって寂しさや孤独感、疎外感にさいなまれるかもしれません。これは想像している以上に辛く感じるパパがとても多くいます。しかし、育児に慣れてくればパパとの時間もゆっくりともどってくるので、将来の先行投資と考えて今は家事を一生懸命こなすことが、夫婦円満の秘訣かもしれません。

■ これだけは忘れないで

  • 寂しさは、ママの体調が戻るまでは、ママに態度や責める言い方でぶつけず、まずは信頼できる友人や同じ立場のパパに話してみましょう。ママに伝えたいときは、授乳や赤ちゃんの世話中は避け、ママに自分の疲れを伝えるときは、責めずに「ふたりの困りごと」として話します。
     「最近ちょっと寝不足で余裕がなくなってきた。ふたりとも休めるように、夜の担当を決めてみるのはどうかな?」

両親との間にパパが入ることで、ママからの信頼を得られる

孫が生まれるということは、両親にとっても大変喜ばしいもので、両親としては子育てをしてきた先輩としてアドバイスをしてあげたい気持ちは大変有り難いことです。

しかし、ママは不安が大きい中で模索しながら子育てをしています。模索して自分で決めていく過程が何よりも大事なこともあります。その中でママにとっての義両親からのアドバイスはプレッシャーになることもあります。

「両親の気持ちは有り難いけど、ママのやり方を尊重したい」「ママも頑張っているから、見守ってほしい」とパパからパパの両親に伝えてもらえることによって、ママはパパへの信頼感を高めます。この信頼感は、パパと結婚したこと、子育てをパパとしていくことに喜びの感情を強めます。

■ これだけは忘れないで

  • その場ではママの側に立つ。
     「ありがとう。でも、今は僕たちのやり方でやってみたいんだ」
  • 訪問の予定は、事前にママの体調を確認してから決める。
     「来週、両親が会いに来たいって言っているけど、体調どう?30分くらいで帰ってもらうようにするね」
  • 両親への説明や断りの連絡は、パパが引き受ける。

付録② 場面別:よくあるすれ違いと、対話の例

本編と付録①で出てきた「よくあるすれ違い」を、場面ごとに表にまとめました。迷ったときの見返し用です。

・家事

こんな場面でつい言いがちこう話してみる
何か手伝おうと思うとき「何か手伝おうか?」→ ママ(何を頼むか考えること自体がしんどい…)「洗い物と洗濯は僕がやっておくね。他にやってほしいことある?」
夕方、帰宅したとき「今日一日何してたの?」→ ママ(ずっと授乳とおむつ替えで、トイレに行く時間もなかったのに…)「今日もずっと赤ちゃんを見ていてくれたんだね、ありがとう」
退院して数日、ママが普通に歩いているときもう大丈夫なのか(以前と同じように家事を任せてしまう)「夕飯、①うどん ②おにぎり ③お弁当、どれがいい?買ってくるよ」

・赤ちゃんとの関わり方

こんな場面でつい言いがちこう話してみる
ママがお世話をしているとき「これどうやるの?」「なんで泣いてるの?」と次々に質問する(最初の数週間は観察して覚える)落ち着いてきたら「自分もやりたいから、やり方を教えてほしい」
自分もお世話をしたいとき自己流でやって、ママのやり方と違ってしまう「次のおむつ替えは僕がやってみてもいい?」
調べた情報を伝えたいとき「ネットではこうしろって書いてあった」「こんなのも見つけたけど、どう思う?」

・パパの寂しさ・疲れ

こんな場面でつい言いがちこう話してみる
ママが赤ちゃんにつきっきりで寂しい「最近、僕のことはどうでもいいんだね」(ママの体調が戻るまでは気持ちはぶつけず、友人や同じ立場のパパに話す。強い不安・眠れないといった症状がある場合は、自治体などの子育て相談窓口で話をしてみることも検討してくださいね。)
疲れがたまってきた「僕だって仕事で疲れてるんだよ」「最近ちょっと寝不足で余裕がなくなってきた。ふたりとも休めるように、夜の担当を決めてみるのはどうかな?」

・ママが急に泣き出したとき・つらそうなとき

こんな場面でつい言いがちこう話してみる
ママが急に泣き出した「どうしたの?何があったの?」と理由を問い詰める「大丈夫だよ。そばにいるからね」
ママが落ち込んでいる「そんなことで泣かなくても」「気にしすぎだよ」「そっか、つらかったね」
ママの様子が2週間以上おかしい「気の持ちようだよ」「みんな頑張ってるんだから」「最近つらそうに見えて心配なんだ。ひとりで頑張りすぎてない?」
ママが専門家への相談をためらっている「おかしいよ、病院に行ったほうがいい」「産後はホルモンや寝不足で、誰でもこうなることがあるみたい。ママのことが心配だし大事だから、助産師さんや保健師さんに一回話を聞いてもらわない?電話は僕がかけるよ。一緒に聞こうか」

・両親との付き合い

こんな場面でつい言いがちこう話してみる
義母に「抱き癖がつくから抱っこしすぎないで」「ミルクを足したら?」と言われた「母さんも悪気はないから」「ありがとう。でも、今は僕たちのやり方でやってみたいんだ」
両親が突然訪したいと言ってきた。ママに対応を任せてしまう「来週、両親が会いに来たいって言ってるけど、体調どう?難しかったら今回は断るし、もし大丈夫そうなら片付けするね。赤ちゃんも疲れちゃうと思うから○分くらいで帰ってもらうようにするね」