【前編】では受診目安やホルモンの関係についてお伝えしました。【後編】ではつわりの対処法についてお伝えしていきます。
つわり中は、胃がムカムカして食事が食べづらかったり、食べたものを吐いてしまったりすることがあると思います。本当につらいですよね。
吐き気や嘔吐が長期間続くと脱水や栄養不良になることがあり、赤ちゃんとママの命が危険にさらされる可能性があるため、医学的には特に注意が必要です。
ここからは、つわりによるムカムカや吐き気を和らげる方法を詳しく紹介します。少しずつ試してみて、自分に合ったものを見つけてくださいね。
吐き気を緩和する方法
1.食べ方の工夫
小まめな食事
- 「食べつわり」にも当てはまりますが、満腹になりすぎたり、空腹になりすぎたりしないように、1日5~6回食事を頻回にわけて食べ、胃の中が空っぽにならないようにしましょう。
- ちゃんとした食事を食べるのが難しい時には、ナッツ・果物・クラッカーをひとくち程度食べてください。血糖値を安定させ、吐き気を抑えるのに役立ちます。
水分と固形物を分ける
- 胃が満腹になって気持ち悪くなるのを防ぐため、食事と一緒に水分をとるのではなく、食事の30分前か後に水分を摂ってみましょう。
2.吐き気を和らげる食べ物
ショウガ
- ショウガには、吐き気を抑える効果があり、吐き気でつらい時には、生のショウガをおろしてお湯にいれた生姜湯を飲んだり、煮物料理の時に入れて煮込んだりすることがおすすめです。
- 他に、つわり症状を和らげるために用いられる漢方もあります。「小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりゅうとう)」や「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」などにもショウガが含まれているため、気になる方は産院の先生に聞いてみるのもいいでしょう。
ビタミンB6
- ビタミンB6の摂取は、妊娠中の吐き気を抑える効果があり、米国産婦人科学会や日本の産婦人科診療ガイドラインでもビタミンB 6の摂取がすすめられています。
- 多くの食品に含まれていますが、特に、バナナなどの果物(柑橘類を除く)、ジャガイモ、さつまいも、鶏肉、玄米などに豊富に含まれますので、お試しください。
- サプリメントを摂取する場合には用法用量を守ることが大切です。
冷たい食べ物
- 冷たい食べ物はにおいが少なく、つわりの時にも比較的食べやすいといわれています。お米のにおいがきつくても、つめたいおにぎりにすると食べられるかもしれません。
水分の多い食べ物
- 水分を多く含むフルーツや野菜は、水分補給に役立ち、吐き気を抑えてくれます。
3.つわり中の過ごし方
朝目覚めたら、ゆっくり起きあがる
- ベッドから急に起き上がると胃がムカムカしやすくなるので、起き上がる時間を十分にとりましょう。
朝目覚めたら、少し食べてから起き上がる
- お腹が空っぽのままベッドから起き上がると胃がムカムカしやすくなるので、クラッカーなどをベッドの近くに置いておいて、食べてから起き上がってくださいね。
水分補給をこまめに行う
- 妊娠中は、赤ちゃんに栄養を送るために循環血液量が増えることや、基礎代謝が上がり汗をかきやすくなるため、水分補給が重要です
- 吐き気や嘔吐があるときに脱水にならないためにも、水分摂取は欠かせません。大人は1日におよそ1.5リットルの水分補給が必要だといわれていますが、妊娠中のママは1日およそ2リットル(コップ8~12杯)の水分補給が目標です。
- 一気に水分補給するのではなくて、こまめに水分補給することがポイントで、喉が渇いた時だけでなく、1日を通して飲むようにしてくださいね。
- 水、麦茶(ミネラルが豊富)、ルイボスティー(ビタミンやミネラルが豊富)がおすすめです。
プチ豆知識
アルコールやカフェインは控えましょう。
アルコールは、お腹の赤ちゃんに低体重・顔などの形態異常・脳障害の危険性があるので、妊娠中はどの時期であっても、アルコールの摂取を完全に控える必要があります。
カフェインは、お腹の赤ちゃんが低体重になる危険性があります。厚生労働省によると、妊娠中のコーヒーは1日あたりカップで2杯くらいに制限するようにいわれています。
十分な睡眠をとりましょう。
睡眠が足りていないとつわりがひどくなることがあります。
お腹が少しずつ大きくなってくると眠りづらいこともあると思いますが、できる限り夜に十分な睡眠をとることが大切です。難しい場合は、お昼寝なども活用しましょう。
寝る時には、胃が食べた物の消化をしている食後すぐの時間は避けて、食後しばらくしてから横になってくださいね。

つわりにはショウガが効果あるって聞いたことあったけど、ビタミンB6も効果があるんだ。水分補給もついつい忘れちゃうから気をつけたいな。
吐き気以外の症状を緩和する方法
ここまで吐き気に関する緩和方法についてご説明してきましたが、吐きづわり以外にも様々なつわり症状がありますよね。ママ達が経験するつわり症状の種類は個人差が大きいのです。
科学的に証明されているわけではありませんが、それぞれのつわりの一般的な対処法もありますので参考にしてみてくださいね。
食べつわり:空腹になると胃がムカムカするから常に何かを食べていたい
- 体重コントロールのためにもカロリーの低い物(ナッツや炭酸水など)を少しずつ摂る
- ガムをかむ
よだれつわり:唾液が出過ぎて困る
- ティッシュやカバーをつけたペットボトルなどに、こまめによだれを吐き出す
- マウスウォッシュをする
眠気つわり:どれだけ寝ても眠い、日中ずっと眠気が続く
- 食後~15時頃までに10-20分仮眠するなど、効果的な昼寝をする
- 朝日を浴びる、寝る2-3時間前に入浴する、寝る直前にスマートフォンを見ないなど、夜の睡眠の質を上げる
つわりとサポートについて
- パートナーや家族との関わり
つわり症状は、体のつらさだけでなく、それに伴って思うように仕事や家事ができなかったり、好きなものが食べられなかったりすることで、こころにも負担があると思います。
これまで当たり前にできていたことができなくなることで、ストレスが溜まりやすい状況です。
今は一人で耐えるしかないと思うこともあるかもしれません。
確かに妊娠に伴う体の不調はすぐに取り除くことは難しいと思います。
一方、こころの不調は、パートナーや家族に症状やつらさを少しでも理解してもらって、必要な手助けをしてもらえると、和らいでくることがあります。
伝えたい相手にこのコラムを読んでもらい理解を深めてもらうことも一つです。
つわり症状があっても食べられる可能性のある食事を買ってきてほしい、とお願いすることもできるかもしれません。
1日の終わりに「今日も赤ちゃんのために頑張ってくれてありがとう」と言ってもらうだけで、気持ちが軽くなるというママもいます。
こころもちょっとしんどいなぁ…というときには、お願いできそうなところから伝えてみるのはいかがでしょうか。
- 仕事との付き合い方
つわりが始まる妊娠初期には、職場に妊娠やつわりのつらさを伝えることをためらってしまうママもいるかもしれませんが、赤ちゃんとママのためにも、職場の人たちとのコミュニケーションは重要です。
信頼できる上司や同僚など、一人でも今の状況を理解してもらうと、急なお休みなどで仕事を調整してもらう場合に相談しやすくなると思います。職場の人達もママがどういう状態かわかることで、サポートしやすくなります。
つわり症状の説明がしにくい場合は、病院からこう言われている、と伝えることもできます。
厚生労働省のHPに「母子健康連絡カード」という、お医者さんからママへの指示事項を適切に会社に伝達するためのツールもあるので、必要に応じて活用してみてくださいね。
つわりを含め妊娠に伴う体調不良がつらい時には、休業や時短勤務、通勤緩和(通勤時間帯の変更や在宅勤務など)を適応してもらえる可能性があるので相談してみてくださいね。
お医者さんに仕事を休む必要があると言われた時には、職場に休業(つわり休暇)を申請しましょう。形式的には、有給休暇もしくは病欠という扱いになりますが、病欠扱いとなった期間には、加入している健康保険の傷病手当が利用できます。
詳しくは加入している健康保険組合に問い合わせてくださいね。

つわりを乗り越えるには、食べ物や生活の仕方だけでなく、パートナーや家族、職場の人たちの周りのサポートも大切なんだ。まずはパートナーに今の状況をちゃんと伝えてみようかな。
おわりに:今つわりがつらいママへ
自分に合うつわり対処法がなかなか見つからなかったり、安定期に入ればつわりが終わると思っていたのに落ち着かなかったりと、先の見えない不安に押しつぶされそうなときもあると思います。
つわりで仕事や家事を休むことに罪悪感をもつママもいるかもしれませんが、「お腹の赤ちゃんを育てる」ということも重要で立派な社会貢献です。
思うようにできない自分を責めてしまうときもあるかもしれませんが、同時にこんな状況でも赤ちゃんを大切に育てている自分を認めてあげながら、ママの体とこころを一番に考えて過ごしてくださいね。


