ストレスとうまく付き合うために役立つ、対人関係カウンセリング(IPC)とは? 

対人関係カウンセリング(Interpersonal counseling:IPC)って何?

対人関係カウンセリング(IPC)とは何かを知っていただくために、その基となった対人関係療法(Interpersonal psychotherapy:IPT)という心理療法を紹介します。対人関係療法(IPT)はうつ病の治療法として開発され、国内外でも有効性が認められています。

そして、対人関係療法(IPT)は妊産婦のうつ病の改善や産後うつ発症のリスク低減に効果があると報告されています。

私はうつじゃないし、こんな療法は必要ないと思うんだけど…

対人関係療法(IPT)の考え方を基に、軽いストレス状態の人のストレスを軽減することを目的に作られた対人関係カウンセリング(IPC)があります。対人関係カウンセリング(IPC)は、妊娠出産期に起こり得る様々なストレスなどに対して、活用することができると言われています。

本アプリ※ではこの対人関係カウンセリング(IPC)の手法を取り入れて、妊娠・出産期の不安やストレスへの対処法を見つけるためのサポートを目指しています。

※本アプリは疾病の予防・治療を目的としておりません。

対人関係カウンセリング(IPC)の基本的な考え方~自分の気持ちに耳を傾ける~

対人関係カウンセリング(IPC)では「自分の気持ち」と「周囲の人との関係」に着目します。まず自分の気持ちに耳を傾けることが大切です。

人は日常の生活を送る中で「パートナーが早く帰ってきて嬉しい」「お気に入りの食器が割れて悲しい」「親に頭ごなしに意見を否定されて腹が立つ」などいろいろな気持ちを感じます。

ネガティブな気持ちがこころの中にいっぱいになった時には、とてもつらいですよね。

でも実は、ネガティブな気持ちはポジティブな気持ちと同様に、あなたが今どのような状況に置かれているか、この先どうしていけばよいか教えてくれる大切な役割があります。

妊娠や出産という人生の中で非常に大きな変化の時には「つわりでつらくて、家事をちゃんとできていないし、私はママとしてこれからやっていけるの?」などと、何となくネガティブな気持ちであることはわかるものの、どうしていけばよいかがわからないことがあるでしょう。

その気持ちの奥底には「本当はパートナーにつわりは病気ではないけどつらいということを分かってもらいたい。仕事が忙しいのも分かっているけど、家事も手伝ってほしい」のような気持ちがあることにきっと気付くはずです。

あなたがこころの奥底にある気持ちに耳を傾けて気付くことができれば、ストレス軽減のためにするべきことが見えてくるはずです。

パートナーに家事を手伝ってほしいと気付いたのであれば「つわりがつらくて家事ができないから、代わりに家事をやってほしい」とパートナーに自分の気持ちを伝えてみましょう。

気持ちを理解して家事をしてもらえたなら、家事が出来ていないというあなたのストレスは軽減されるでしょう。

対人関係カウンセリング(IPC)の基本的な考え方~周囲の人との関係が大切~

人は人との関係で傷付いたり、逆に安心できる人との関わりの中で傷付いた気持ちが癒されたり「自分の気持ち」と「周囲の人との関係」は密接に関連しています。

特に、パートナーや家族など人生で長く付き合っていく人(対人関係カウンセリング(IPC)では『重要な他者』と呼びます)との関係は、こころの状態に強く影響します。妊娠出産という大きな変化に適応していくためには、『重要な他者』との関係が大事になってきます。

妊娠中は、つわりや腰痛、睡眠の質の低下など、体の不調を感じながら仕事や家事をこなさなければならず、つらさを感じることもあると思います。

そのような時に、パートナーに「最近つわりがひどくて、起き上がるだけで気持ちが悪くなる時があるの。これまで何とか今まで通りに家事をこなしていたけど、かなりつらいんだよね。家事を手伝ってほしいな。」と、あなたの状況と気持ちを十分に伝えてみることを想像してみてください。

もしパートナーがあなたの状況を理解して、あなたの気持ちを十分に受け止めて「つわりで大変な時に家事をしてくれてありがとう。僕がやるからゆっくりしてね」と労いの声をかけてくれて、実際に家事をしてくれたら、あなたの体は楽になり、つらい気持ちも和らぐのではないでしょうか。

このように、つわりでつらいあなたの状況は変わらなくても、自分の状況と気持ちを十分に相手に伝えて、相手があなたの気持ちをしっかりと受け止めてくれたら、あなたは周囲の人から支えられている感覚を持つことができるでしょう。

このように、パートナーや家族など周囲の人に「支えられている感覚」を育んでいくと、ストレス軽減に繋がっていきますよ。

相手によってどのようなことなら受け止められるか、どのような表現で伝えたら伝わりやすいかは異なるので、相手の状況と気持ちを把握することは重要になります。

このことについては、【妊娠・出産という大きな変化に適応するために知っておいてほしいこと】と【心地良い人間関係がこころの安定につながる】というコラムで詳しく説明します。

対人関係カウンセリング(IPC)では「自分の気持ち」と「周囲の人との関係(特に重要な他者との関係)」に着目して、自分の気持ちに耳を傾けながら、周りの人に「支えられている感覚」を育んでいきます。

対人関係カウンセリング(IPC)の考え方を知ってストレスへの対処法が身についていくと、より穏やかに妊娠・出産期を過ごせるかもしれませんね。