はじめに 本当はイライラしたくないのに、ついしてしまうとき
- 優しく話そうと思っていたのに、すぐにイライラしてしまった。
- 論理的に話そうと思っていたのに、途中から感情的になってしまった。
- はじめは楽しかったはずなのに、どんどん辛くなって相手にあたってしまった。
- 相手の嫌なところが一度気になると止められず、細かく注意してしまった。
「なんでこんなことで怒ってしまうんだろう」「なんですぐにいっぱいいっぱいになってしまうんだろう」…。
そんなふうに自分を責めたり、次はそうならないようにしようと思っているのに、また繰り返してしまったりすることはありませんか?
実は、生活が大きく変わる時期には、自分をコントロールすることが難しくなると言われています。
特にママになると、ホルモンバランスや生活リズムの変化により、今まで見たことがなかった自分に出会うことが増えていきます。
はじめはとても戸惑い、自己嫌悪を繰り返すこともあるかもしれません。
でも、もし今「このままじゃ嫌だ」「嫌いな自分をどうにかしたい」と感じているなら、それは自分と向き合う大切なタイミングです。
自分を知ることは、パートナーや周囲との関係や、これからの生活をより穏やかにしていく力になります。
今回は、自分を知るための具体的な方法をお伝えします。
①イライラには「パターン」がある
〜自分の心のクセと余裕を知ろう〜
■ 感情が乱れるのは「性格が悪いから」ではない
感情が抑えられなくなるのは、「性格が悪いから」ではなく、「一定のパターンがあるから」です。まずはそのパターンに気づくことが第一歩です。
では、具体的にはどうすれば良いのでしょうか。
■ 感情のパターンを見える化する
イライラする出来事があった時は、落ち着いてから以下を簡単に振り返ってみてください。
- 何があったか
- そのときどう感じたか
- そのときの体調はどうだったか(寝不足・空腹・体調不良はなかったか)
- そのときの自分を取り巻く状況はどうだったか(仕事が忙しい時だった、別のことで嫌なことがあった など)
- どんな行動をとったか
- なぜその行動をとったのか、自分で説明できるか
これを何度か繰り返すと、「自分はどんなときに感情が乱れやすいのか」が見えてきます。
■ 自分の性格傾向を知る
人にはそれぞれ、生まれ持った反応のしやすさがあります。アメリカの心理学者のクロニンジャーの気質・性格理論では、人の気質は次のような傾向に分けられます。
- 不安を感じやすい(損害回避)
- 新しい刺激に反応しやすく、思い立ったらすぐ動きやすい(新奇性追求)
- 人の評価に影響を受けやすい(報酬依存)
- 頑張り続けやすい(固執)
これらは良い・悪いではなく、「特徴」です。
例えば、不安を感じやすい人は、「ちゃんとしなければ」と思う分、負担を感じやすい傾向があります。
人の評価に影響を受けやすい人は、人から分かってもらえているかどうかで、モチベーションが大きく変わりやすい傾向があります。
頑張り続けやすい人は、一つのことを頑張れる一方で、こだわり過ぎてしまうこともあります。
大切なのは、「性格を変えること」ではなく、「自分の扱い方を知ること」です。
■ 自分の容量(余裕)を正しく知る
自分の余裕を把握することは、感情の安定に直結します。
心理学では、ストレスと回復のバランスが崩れることで気持ちが不安定になると考えられています(ストレス脆弱性モデル)。
また、人に気を遣ったり、気持ちを抑えたりすることも、心のエネルギーを使うと考えられています(自我消耗)。
まずは、1日を大まかに分けてみてください。
- 家事
- 仕事
- 気遣い(対人ストレス)
- 自分のための時間(休息・回復)
ここで重要なのは、「気遣い」も負担として数えることです。
さらに、疲れや睡眠不足、考えることが多すぎる状態は、感情のコントロールを難しくすることが研究で示されています(Sleep loss and emotion: A systematic review and meta-analysis of over 50 years of experimental research)。
そのため、休息や自分の時間がほとんどない状態では、イライラや衝動的な反応が増えやすくなります。
それは「うまくできない」のではなく、「回復が足りていない状態」なのです。
②「助けて」は弱さじゃない
〜弱さを見せることで、関係は深まる〜
余裕がないときほど、人は我慢を選びがちです。しかし、妊娠・育児期は周囲との協力関係を築いておくことがママにとっても赤ちゃんにとっても何より重要です。こんなことで相談してもいいのかな、我慢して私がやったほうが、うまくいくと思うこともあるかもしれませんが、無理をして、ママの体や赤ちゃんに影響があっては本末転倒です。ここでは周囲にどのようにヘルプを出すと良いのか、その「適切な伝え方」についてみていきましょう。
■ 「相手への不満」ではなく「自分の状態」を伝える
「なんでやってくれないの?」ではなく、「今ちょっと余裕がなくて…」「手伝ってもらえると助かる」というように、「自分の状態」を伝えることがポイントです。
■ 具体的に頼る
パートナーや周囲の人にとって、こちらの状況を正確に察するのは難しいこともあります。
「少し休みたい」ではなく「10分だけ一人になりたい」と具体的な時間を伝えたり、「ちゃんとやって」ではなく「お皿を洗ったら、排水口のネットも替えておいてね」と具体的な方法を伝えたりすることで、サポートを受けやすくなります。
職場などでの人間関係でも同様で、例えば、「今つわりがとてもつらく、通勤の間も立っていられない状況です。通勤時間を○時ごろに調整させていただきたいのですが可能でしょうか」などという形で、【状況+具体的なお願い】という形で伝えてみると、相談をされた側も、どこまでが可能でどこからは難しいのかちょうどよい落としどころを見つけやすくなると思います。
■ 「自分も悪かったな」と思ったら、早めに謝る
「自分にも非があったな」と思う時は、できるだけ素直に謝ることはコミュニケーションの上では効果的です。パートナーがなかなか謝ってくれないと感じる時こそ、相手にしてほしい態度を自分から示してみることで、相手も歩み寄りやすくなります。
とはいえ、気持ちがおさまらないときや、「なんで私から?」と思ってしまうときに謝るのは、簡単ではありませんよね。そんなときは、無理にその場で謝らなくても大丈夫です。
少し時間をおいて落ち着いてから伝えたり、「さっきは言いすぎた」と一言だけにしたり、LINEで伝えたりするのもひとつの方法です。言葉にするのが難しければ、好きな飲み物を用意しておく、いつもどおり「おはよう」と声をかけるなど、態度で伝えることもできます。
■ 伝えても、すぐに分かってもらえるとは限らない
伝えたとしても、必ずしも理解されるとは限りません。それでも伝える意味は、「分かってもらうこと」ではなく、「共有すること」にあります。
③どうしても冷静になれないときは
〜まずは離れる・寝る・食べる〜
■ 感情が強いときは、距離をとる
どんな理由があっても、相手に強く当たってしまうと関係は傷つきます。感情が高まっているときは、次のような対応が有効です。
- 一度その場を離れる
- 「あとで話したい」と伝える
■ 睡眠・食事・休息を優先する
- 睡眠を優先する
- 空腹を我慢しない
- 何もしない時間をつくる
こうした小さな積み重ねが、感情の安定を支えます。
最後に
〜完璧じゃなくて大丈夫〜
はじめから完璧に自分を理解しようとするのは難しいことです。でも、自分を知り、無理なく続けられる自分の整え方を見つけていくことで、負担を減らしながらパートナーとの関係を築いていくことができます。
「そんなのできない」と思う人は、
①完璧を目指している
②できなかった1回を、必要以上に大きな壁に感じている
この二つの傾向があるかもしれません。
でもそれは、それだけ「ちゃんとしたい」「その人との関係を大切にしたい」と思って頑張っている証拠でもあります。
できなかった日があっても大丈夫。1回うまくいかなくても、それまでの積み重ねがなくなるわけではありません。
「今日はできなかったな」と気づけたことも、自分を知るための大切な一歩です。
この二つを少し意識しながら、できたことにも目を向けて、自分のペースで自己理解を進めてみてください。
いちばん身近な味方である自分を、少しずつ大切にしていけますように。


